この問題の答えが
詳しく書かれている書物は、
知る限りでは、
チベットの死者の書(注1)
以外ありません。
それによれば
死んだらまず中間状態(バルドゥ)
という世界に入ります。死んだ直後の世界です。
1.チベットの死者の書とは
チベットの死者の書は、
死者が生まれ変わる世界、
つまり来世を間違えないように
導師が死者に語りかけるための書物です。
2.中間状態とは
チベットの死者の書では、
死ぬと中間状態に入り、
そこでどの世界に生まれるかが決定され、
次の世界に生まれ変わると記載されています。
中間状態では、心素(注2)にあるデータが
光やビジョンとなって順次現れ、
死者は最も違和感のない
光やビジョンに飛び込んでゆき、
そこで新たな体を得て、
生まれ変わると言われています
中間状態とは、死んでから
次に生まれ変わるまでの
一定期間の状態のことを言います。
はじめの3日半の後、
7日間に平和の神々が現れ、
次の7日間に恐怖の神々が
現れます(人によって異なる)。
これらの神々に導かれれば、
高い世界に行ける、
と記載されています。
ここでは、肉体がなくなり、
その人の心がダイレクトに現れるため、
相当に厳しい恐怖の経験をするようです。
一部の例外を除いて、
普通の人はこの14日の間は気絶状態が続き、
気絶して意識がないため、全く気が付かず、
なすすべはないようです。
結果として、死後49日までの間に、
生前の行為を清算するために
どこかの世界に生まれるようです。
49日というのはその意味だったのです。
でも、生前のどんな行為が
どの世界で清算すべきものなのかは、
あまり知られてはいません。
良い行為の場合には天国へ、
悪い行為の場合は地獄へ、
というような単純なものではないようです。
ましてや、死んだら天国に行けるなどという簡単なものではないようです。
いずれにせよ、この中間状態では相当の恐怖を味わうと書かれています。
3.中間状態の後に行く世界
チベットの死者の書には以下のように書かれています。
3日半と14日が過ぎた後に、
天界、阿修羅界、人間界、
動物界、餓鬼界、地獄界
へと繋がるビジョンが現れ
死者はそのどれかの世界に行くのだと。
「どれかの世界に行く」とは
「どれかの世界に新しい体で生まれる」ということです。
これが欲界(注3)への生まれ変わりです。
これが輪廻転生の始まりです。
注1 山崎信定訳
初版「原典訳 チベットの死者の書」筑摩書房
注2 心素とはカルマの法則の注2参照
注3 欲界とは、天界、阿修羅界、人間界、
動物界、餓鬼界、地獄界をいいます。
欲六界、六道ともいいます。